人生の完熟

2020年1月29日 | からadmin | ファイル: 生活雑感.

私は中学時代の電気少年のまま真空管アンプ造りを趣味の一つとしています。

製作の最終段階では性能チェックとして周波数特性を測定するのが通例です。
具体的には30Hzから12,000KHz程度までの再生音が凸凹なく平坦に出音していることの確認になります。

しかし,最近になって私自身の可聴能力に限界(〜10,000KHz止まり)があることを認識しました。若者には聞こえる「モスキート音」(高音)が加齢による聴力劣化で聞こえてないのです。

だとすれば,私のような年寄りには高級なHi-Fi装置はネコに小判で,真空管アンプ造りなどはナンセンスな趣味と言うことになりそうです。

でも,老練な指揮者が若い人のそれよりも,より深く,激しく人生の悲哀と歓喜を奏でることを私達は知っています。
聴力を失ったベートーベンのシンフォニー,視力低下したクロード・モネの「睡蓮」に感動してきたのです。

更に言えば,人は目で見た形や色,音,肌で感じる感触,味覚,香りといった五感だけでなく,文学や体験・出来事に感動や美しさを見い出したりもします。

日々の暮らしを生物学的な加齢化でなく,人間としての「総合力」を磨き上げていく「熟成の途」と捉え,生命(いのち)の美しさを感じ取る「美的感受性」を益々磨き上げていきたいものと考えています。


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