若い頃,私は日本社会事業大学で「福祉」に触れ,上越教育大学で「教育」について考えました。
とりわけ,児童問題に心惹かれた私にとって「教育と福祉」の関係性は主要な関心事のひとつでした。
なかでも強く心に残るのは北海道家庭学校の創始者「留岡幸助」の存在です。
夏期休暇を利用して遠軽まで家庭学校を訪ねて行ったことを鮮明に記憶しています。
その留岡は教育と福祉の特徴について次のように語っています。
教育における強者の強化,福祉における弱者の弱化
- 教育は学業優秀な者(強者)をますます教育(強化)して優秀に仕上げていくことを得意とする(一方,落ちこぼれや障がい児は…)
- 福祉は障がい児・者(弱者)を特別に処遇(施設収容等)することによってますます社会における弱い存在(弱化)としてしまい勝ちである
もちろん,当時(留岡1864-1934)の時代状況と現在とでは教育も福祉も様変わりしていますが「強者の強化,弱者の弱化」という核心を突いた本質的指摘には意を用いていく必要を依然として感じています。