ある時期,私の昼食はクリームチーズとスモークサーモンのベーグルパンと決めていたことがあります。
ベーグルは余分なバターや甘味料を使用せず生地を一度茹で上げてヘルシーであることが好まれて,一部に熱狂的な愛好家が存在しました。
その世界では専用トースターやチーズケースなどマニアックな調理器具やレシピ本など関連商品が一つのジャンルを形作っているほどです。
なかでも,最も気に入って当時個人輸入したものが「ベーグルスライサー」です。
その器具はベーグルを横1/2にスライスするためだけに30×30×10cmもの大きさがあり,一回にスライスできる数も一個のみです。ベーグルをセットするのも結構面倒です。何よりも傑作なのは「ほかに何の用途もない」ことです。
それは,大の男が一日一回その切れ味に満足してニヤニヤするためだけに存在する道具ですが私は好きでした。
こんなバカバカしいものの開発に誇らしげに情熱を傾け続けるひたむきな姿勢が大好きです。子育てとか教育とか,どこか似ているような気がしました。