軽度の発達障がいがあって大学中退後の就業も長く続かず家庭内暴力と引きこもりが長期化した青年のご両親からご相談をいただいたケースです。
家庭内にも居場所を失ったご本人は自ら希望して精神科受診のうえ入院加療となりました。
入院直後は,取りあえずの居場所を得て医療スタッフの指示に従う毎日でしたが長期化するに従って病室の変更,個室の希望,売店での買い物,院外外出,一時帰宅と要求が膨らみ,とうとう,某精神保健センターへの本人による「不当入院」の通告電話にまでエスカレートしてしまいました。
慌てた?病院側はケースワーカー経由で母親指導したのですが事情は好転しないまま両親呼び出しの主治医面談となったそうです。
この段階で知人を介して私がお話しを伺うことになり研究室でご両親にお会いしました。
明らかに憔悴しきったご親御さんの,吹き出す切なさと張り裂けるような訴えでしたが,絶望的なお父様からの「○○先生(主治医)から『△▽君はダメだね!』と言われました」という一言に,私は「転院も一つの選択ですね」と即座に申し上げました。
この種の相談は私の専門分野ではありませんでしたが,困難な解決課題を抱えて苦しんでいる当事者を「ダメ呼ばわり」(失礼…思い出しても腹が立ちます)する人を相談のパートナーに選ぶ必要はありません。
「捨てるべき人間はいない」 留岡幸助
失敗で失意の人を”ダメな人“とする立場と,今は出口を求めて苦しむ人を”良くなる人“として向き合う立場の齟齬(そご)にずっと苦しんできました。